日本人の食生活の多様化に伴い、現代ではさまざまな料理が世の中に溢れています。
それと同様に、登場人物がおいしい料理を味わう姿をゆっくりと楽しめる「グルメマンガ」の世界も、昔と比べてさらに大きな盛り上がりを見せており、今や1大ジャンルに確立されているのです。
そこで本記事では、読むと心がほっこりと癒されて満腹になれる「癒しのグルメマンガ」について特集していきます。
トナリはなにを食う人ぞ ふじつか雪
「トナリはなにを食う人ぞ」は、白泉社で活躍している少女漫画家「ふじつか雪」さんの作品です。
「すずな」とは違い料理が大得意な「瀬戸」は、実家が料亭の長男です。
そんな彼は高校時代、柔道部の主将だったことから料理を教える際にもかなりスパルタ。
ですがなんだかんだ言いながらも、すずなに対して誠実に料理をレクチャーする瀬戸を見ていると微笑ましくて癒されます。
さらに、登場する料理がどれもおいしそうなのはもちろんのこと、「すずな」と「瀬戸」のゆっくり進む恋愛模様も、読んでいてすごくほっこりできるのがこのマンガの魅力です。
実はすずなは料理だけでなく、洗濯や掃除など家事全般があまり得意ではありません。
そんなすずなではありますが、自分が何かと困っているときに助けてくれる瀬戸に対して、「自分も日ごろの恩返しができたら」と、一生懸命に頑張っている姿はとても素直でかわいらしいです。
ストーリーの間には登場した料理のレシピが掲載されているので、実際にマンガに登場した料理が作れるのも魅力です。
全3巻なので、手軽に全巻一気読みができるのもおすすめポイントとなっています。
実はこの「トナリはなにを食う人ぞ」ですが、連載当時からかなり人気が高かった作品です。
そのため、2人のその後を描いた続編も発売されています。
「トナリはなにと食う人ぞ」の続編について、詳しくはこちらの記事でご紹介しています。
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しあわせのひなた食堂 魚乃目三太
女性雑誌で連載されていた泣ける人情系グルメマンガが、この「しあわせのひなた食堂」です。
グルメマンガの部類に入るのですが、「照子さん」が自分の子供である5歳児の「幹太くん」と、まだ赤ちゃんの「陽菜子ちゃん」を守るため、懸命にがんばっている姿に心を打たれる家族マンガでもあります。
人情あふれるエピソードとともに物語を彩る素朴な料理の数々は、読んでいて思わずお腹が鳴ってしまうほど。
連載当時に「自分でもこの料理を作ってみたい!」という声が出版社へ多く寄せられていたようで、単行本化に伴いおまけのページには「再現レシピ」もつけられています。
話も絵柄もとてもやさしいので、読むとほっこりした気持ちになれますよ。
舞妓さんちのまかないさん 小山愛子
登場する料理も毎回おいしそうでたまらないのですが、ほかにも魅力たっぷりな癒し要素が詰まっているのが「舞妓さんちのまかないさん」です。
「キヨちゃん」には、同じく青森から京都にやってきた「すーちゃん」という幼なじみがいます。
すーちゃんはすばらしく舞妓さんの才能がある子で、お稽古の師匠さんから「100年に1人の逸材」と言われているほど。
そんなすーちゃんを間近で見ているにも関わらず、まったくキヨちゃんは妬みません。
それどころか、花街で早くも舞妓さんのデビューが決まったすーちゃんを、まるで自分のことのように喜んでいるキヨちゃん。
そんなキヨちゃんを見ていると、ストレスでイライラとしていた心が洗われるような気持ちになれます。
さらに舞妓さんになったすーちゃんも、キヨちゃんがサポートしてくれる毎日に恥じないように、と気合を入れて舞妓さんの鍛錬をがんばるのです。
登場する料理の描写と共に、少女たちの爽やかで強い絆が感動を呼ぶ作品です!
疲れている時に読むと本当に心が癒される、まさに今一押しのグルメマンガとなっています。
クッキングパパ うえやまとち
もはや国民的グルメマンガといっても過言ではないほどに、知名度と人気の高い長寿マンガである「クッキングパパ」。
そんなクッキングパパの中には、家庭でもよく食べられている定番の料理が登場することもあれば、「え!こんな料理あるの?作れるの?」と思わず驚いてしまうくらい意外なものまで幅広く登場します。
定番料理のおいしさもさることながら、意外なオリジナル料理の味も実はかなり侮れません!
と言いますのも、作者の「うえやまとち」さんは作品に登場する料理全てを、実際に自分で作って試食してからマンガに描いていることがファンの間では知られているからです。
コミックスでは物話の後に、その回で登場した料理のレシピと、実食してみた味についてが書かれています。
普通の料理本ではお目にかかれないようなおもしろい料理を、自宅で作れるというところもクッキングパパを読んでいて楽しいポイントです。
鹿楓堂よついろ日和 清水ユウ
「鹿楓堂よついろ日和」は、2018年の4月にテレビアニメ化された人気のグルメマンガです。
すごく綿密で繊細な絵柄が魅力で、イケメンなのにコミカルでちょっと変人な鹿楓堂の人たちが繰り広げるやりとりがとても楽しく、読んでいて心が癒されること間違いありません。
物語に出てくる料理や甘味の描写が、毎回おいしそうでたまりません!
和風喫茶が題材なので「抹茶パフェ」などを取り扱っているのですが、和風料理のほかにも「ハンバーグプレート」や「パンケーキ」をはじめとする洋風料理もたくさん登場します。
さまざまな悩みやストレスを抱えているお客さんに対して、最高のおもてなしをする鹿楓堂の人達。
そんなプロフェッショナルな姿を見ていると、「あ~、こんなお店が近くにあったらいいのにな~」と誰もが思ってしまうこと間違いありません。
見るからにおいしいオーラが出ている料理と、お店の看板猫である「きなこ」のふわふわした描写など、見どころもたっぷりなグルメマンガ作品です。
恋とごはんと虹色日和 浅野りん
「恋とごはんと虹色日和」の作者である「浅野りん」さんは、長く少年マンガ雑誌で活躍されていた漫画家さんです。
「浅野さんが描いている少女マンガって、一体どんな感じなんだろう?」
最初はそう思って読み始めたのですが、実際に読んでみると極上のピュアな恋愛グルメマンガでした。
主人公2人のゆったりとした恋模様を楽しめる一方、物語を彩る「牛丼」や「筑前煮」などの誰もが食べればほっとできるグルメのチョイスが素晴らしいです。
1冊で完結しているので、読みたい時にサッと読めるのも魅力的なポイントとなっています。
ただその反面、登場人物と料理の組み合わせが絶妙さで、すごく癒される作品に仕上がっているため「このマンガの続編があったら読みたいな~」という気持ちにもなるジレンマです。
良質の恋愛マンガでもあり、登場する料理の魅力もちゃんと伝わってくる、まさにいいとこどりの贅沢なグルメマンガ作品となっています。
いつかティファニーで朝食を マキヒロチ
現代を生きる女性の目線をリアルに描いた「いつかティファニーで朝食を」は、以前実写ドラマ化もされた人気グルメマンガです。
物語に登場する朝ごはんのお店はどれも実在しているため、実際に作中に登場した料理を食べに行くことが可能なこともこのマンガの魅力となっています。
主人公は「麻里子」なのですが、彼女の友人たち1人1人に焦点を当てた回もあり、それぞれが持つ悩みにクローズアップされた時は心がびりびりとするような気持になることも。
その悩みに共感するかしないかによっては、結構好き嫌いが分かれるマンガかもしれません。
出てくる朝ごはんはオシャレなモーニングスタイルの「パン」や「サラダ」、「シリアル」など最近の流行のものから、日本食の代表でもある「とうふ」など多様性に富んでるので面白いですよ。
木崎少年のほろにが喫茶巡礼 左東武之
「木崎少年のほろにが喫茶巡礼」も、実在するお店が登場するグルメマンガです。
「木崎くん」は見た目は今風のかわいい系の男子高校生なのですが、自分の理想の「コーヒーをカッコ楽しむ大人」に少しでも近づくため、学校ではいつも無理してクールな感じを装っています。
そんな「木崎くん」ではありますが、喫茶の名店で提供されている「名物のグルメ」や「コーヒー」を味わった時には、年相応のかわいい表情を見せてくれるんです。
木崎くんのすごく幸せそうな顔を見ていると「ほんとにこのお店のグルメはおいしいんだろうな~」と思えて、読者まで幸福感に浸ることができます。
作中では実在するお店の知られざるメニューも一緒に紹介されているので、自分が喫茶店巡りをする際の参考にもなりますよ。
ちなみに私は喫茶店なのに「釜めし」が名物として登場した回を読んで、その意外性にビックリしました。
おしゃべりは朝ごはんのあとで 秀良子
「おしゃべりは朝ごはんのあとで」は、普段は多忙でなかなか外に出かけることができない作者の秀さんが、「たまには早寝早起きで朝ごはんを食べる」という目的を持って各地を旅するグルメエッセイ作品です。
第1回目の旅行ではいきなり海外のパリに朝ごはんを食べに行くなど、読んでいて思わず引き込まれる面白さを持っています。
実際に秀さんが食べた朝ごはんの感想を、自身の飾らない言葉で率直に書かれているのが魅力的。
マンガの内容が自腹の朝ごはん旅ということもあって、「現地で食べた時に費用がいくらかかったのか?」も掲載されていることも大きなポイントです。
それからグルメ話のほかにも現地のお店の雰囲気や、お客さんとお店の方が繰り広げるおもしろエピソードなど、盛りだくさんで楽しいグルメエッセイマンガになっています。
はらぺこ万歳! たかぎなおこ
「はらぺこ万歳!」はたかぎさんの持ち味である独自のかわいらしい絵柄と、思わずクスッと笑ってしまうエピソードが満載のエッセイグルメマンガです。
全編がカラーコミックになっているので、たかぎさん特有の華やかな色使いをじっくり楽しめる内容となっています。
ちなみに私は青森県での話の時に登場した「アップルパイ」と、たかぎさんの思い出の味である「フレンチトースト」のくだりを読んでいて、夜中にすごくお腹が空いてしまいました(笑)
また、話の中には自炊の大変さなど読者が思わず「わかるわかる」とうなずいてしまうものもたくさんあって共感の連続です。
寝る前に読むとほっこりとした気持ちにしてくれる、おすすめの癒し系グルメマンガです。
まとめ
グルメマンガは昔から人気のあるジャンルだと思うのですが、ここ最近今までにないほど多くの作品が世に送り出されている気がします。
料理を食べることは人間にとっては「食欲を満たす」という行為にあたります。
ですがそれ以上に、「食事には食べた人の心も満たしてくれる幸せな効果」があるのではないでしょうか?
今回ご紹介したグルメマンガは、どれも料理をもてなす人たちが相手を思って調理していたり、料理を食べた人がすごく幸せな表情をしている作品ばかりです。
登場人物の相手を思う気持ちとおいしそうなグルメの数々に、読めば読者も心が満腹になれること間違いありません。
心が癒されたい時に読むマンガ選びの参考にしてみてくださいね。